フランスで最も信頼する、正当なアンティークのみ
扱う紳士ディーラーから譲られたブレスレットは、
19世紀初頭の頃の、造り込みも見事な金製の品。
留め金は、葉をあしらったグラニュエーション。
腕回り部分は、艶のある部分と艶消しのコンビが
絡み合う、一寸モダンな印象すら思わせるチェーン
となっています。
このブレスが製作された頃は、衣装はエンパイアと
呼ばれる、胸下切り替えのギリシャ風ロングドレス
デザインの頃。
それ以前のロココ時代は、腕先までレースの袖が何重
にも有ったために、王妃マリーアントワネットですら
残る肖像画の腕回りはシンプルです。
エンパイアドレスは、布地はモスリンと呼ばれる、
かなり薄手のファブリックで、袖は小さなパフ
スリーブのみとほぼ無く、腕がむき出しになる事が
多かった為、冬の時期は肺炎患者が続出したという
歴史があるようで、ファッションの為ならば薄着も
厭わない、女性には根性を試される時代だったとか。
(長袖は少し先の時代に登場)
その剥き出しになる肩腕には、寒さ除けの為カシミア
ストールと共に、華やかさを加える為に多くのブレス
レットが着けられ、ギリシャ風にまとめられた巻き毛
アップヘアの頭頂には、ティアラや、繊細な髪飾りが
使われていて、一寸現代の装いには不向きなジュエリー
も多い為、現実的にはこうしたブレスが、現代では
一番使える品と思います。